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北野敏一さんの高台内

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北野敏一さんのうつわの高台内には
時々、釉薬(うわぐすり)が掛かっていない部分があります。
もちろん使用するには何も問題は無いのですが
どうしてしっかり釉薬を掛けないの?と
思う方もいらっしゃるでしょう。

北野さんは、中国 明時代の古染付に倣って(意匠をお手本にして)
作陶されている作家さんです。
明の時代は、日本でいうと信長、秀吉、家康・・くらいの頃です。
古染付は民窯(民間の窯)で造られたうつわで
皇帝が使う官窯のものとは違い
遊びごころの多い、ざっくりとした絵付、形、焼き具合で
ラフな感じで楽しいうつわです。

日本ではちょうど茶の湯が盛んになってきた頃で
茶人はその遊びごころやラフな感じを好んで
中国に注文して輸入し、珍重していました。
そのため、現代でも日本には多く古染付が現存していて
大変多くのファンがいます。
つまり元々日本人好みなのです。

その古染付の中には、高台内に釉薬の掛け残しが見られるものも
いくつか存在していて
北野さんも、古染付への憧れからくる
作者の遊びごころ、というところでしょうか、
高台内の銘(作者のサイン)の部分に
掛け残しをつくることがあります。

釉薬は、バケツや桶の中に入れた釉薬の中にどっぷりと漬けたり
柄杓のようなもので流し掛けたりするのですが
厳密に言えば、わざわざ作るというのでは無く
偶然に掛け残しが出来たとしても良しとしているのです。


染付は、素地の上に呉須で描いて
透明釉を掛けて焼くと、青く発色します。
透明釉が掛かっていない部分は
呉須は、焼くと黒く発色します。

素地の、釉薬が掛かっていない部分は
白くても光沢は無く、素地のままなので
ザラつきがありますが
その違いを “偶然の景色” として
是非お楽しみください。

ちなみに、古染付は民間の窯の
名も無き陶工たちの手によるものなので
作者の銘や、誰が造ったかのサインのようなものは
無いのが普通です。

「大明成化年製」のように、時代が書かれたものもありますが
その頃の流行として書かれた場合もあるので
必ずしも正確かどうかは不明です。

いかがでしょう。。
北野さんのうつわは、何故、高台内に釉の掛け残しが
あるのか・・・
疑問に感じるかたの解決につながったら良いなと思い
記事を書きました。

どうぞ、美しい発色の染付
楽しんでお使いください。

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悠々工芸 北野敏一さんの染付



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2023年04月20日 九谷 トラックバック:0 コメント:0

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