親子鶴のそば猪口
橋本薫 親子鶴そば猪口
9月になったのだから、そろそろ秋を感じたい気分。
今夏は記憶にないくらいの多雨多湿でした。
なので、けっこう素麺に助けられてる気がします。
やきものの図柄には
お皿など、平面的なものに合う図柄と
湯呑みやそば猪口など、立体的なものに合う図柄とあって
もちろんそのあたりのことを考えながら
作られているのですけど
この鶴の図柄は、そば猪口という形状に
とても成功しているな、と思います。
鶴によって縦方向の伸びやかさも
よく表現されているし
いきいきとした躍動感もあり
また横方向に視線をうつすと
子鶴に対する慈愛も湧いてきて
ワルそうな子鶴(←作者いわく)が
物語りっぽくてまた可愛い。
よく言われる “風情” って
「ストーリーが感じられる表現」と
言っていいと思います。
掌にのせて、思わず「フフッ」ってなる
ストーリーをもったそば猪口です。
絵は、作者がその時の感性で
スルスルと筆を走らせているので
きっとその瞬間は、作者のなかに
ストーリーが展開しているんでしょうね。
似たようなシチュエーションはあっても
同じ図柄は、ふたつと無いです。
あぁ、今秋の新蕎麦が
待ち遠しくなりました。
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