fc2ブログ

吸坂の赤い土

161D5C24-3C79-4C49-A36A-CD53D900D5EB.jpeg
藤澤重夫 灰釉隅切り角皿


三十数年前に私の手元ににやってきたこの角皿は
石川県加賀市にある吸坂(すいざか)町というところから
採取された赤い土で作られていて
作者である、その土を発見した藤澤さんは
現在も加賀市に住んで作陶されている作家さんです。

四十年近く前、藤澤さんが吸坂の山中で
焼き物に適した良い土を見つけ
掘り出して自身の工房に持ち帰り
轆轤を挽き、釉薬をかけて焼いてみたら
とてもよい土味の陶器に仕上がった・・
という経緯があり、そこまでは当時ご本人から聞いて
知っていたのですが
最近新たに知った事実にちょっと驚き、感銘を受けたので
これはちょっとブログに書いておこうと思います。

地元の郷土研究のなかで
吸坂から発見された、白鳳時代に焼かれた吸坂瓦というものが
あることも私は初めて知ったのですが
私のところにある角皿の赤い土は
吸坂瓦が出土したすぐ近くで採った土なのだ、ということ。
両者を比べてみるととてもよく似ているそうで
そうなると、なんと、白鳳時代の土とほぼ同じ角皿
ということになるではないですか!
白鳳時代って、飛鳥と天平の間ですよ!
大化の改新とか法隆寺とか・・今から1350年前くらいの
日本史の教科書の初めの方に出てくる時代ですよ!
驚きです。。

まだまだ吸坂瓦の研究は、解明されていない部分が多いとしても
とてつもない時間を超えた壮大な土の歴史が
私の手元にある陶器とリンクしていることに
感動しました。

95A06953-F5DB-44A4-880E-879CBB52E963.jpeg

ちょっと金属のようなキンキンという音がする
鉄分の多そうなこの赤い土が好きだな、と思って使っていた
この器が、と思うと
嬉しいですね。

厳冬期に筒茶碗に使っている深向付や
来客用の粉引の汲み出しなども
同じく吸坂の赤い土で作られていて、よい味です。
もちろん作者は藤澤重夫さんです。

B4C6F330-7630-4567-9930-6A05569FBBDE.jpeg
085F1A89-DA19-468B-A66E-68469BFA8DEA.jpeg

奈良で平城京が盛んに花開いている時代
その頃の加賀ではどんな文化で
焼かれた瓦はどんな建物に使われたのか、など
興味をかき立てられることしきり・・
ワクワクが止まりません。


2022年06月23日 九谷 トラックバック:0 コメント:0

| 和!うつわ大好きTOP |

» 次のページ