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初雁/はつかり 絵唐津

古賀賢治 絵唐津雁の図三方小鉢
古賀賢治 絵唐津雁の図三方小鉢


雁という鳥のことは、文様としては知っていたけれど
渡り鳥だということくらいしか、実際にはよく知りません。
住んでいる土地が、大きな沼や餌があって
冬になると渡り鳥が集まる環境...というわけでないからです。

雁/かり・ガン・かりがね・・
みんな雁の読み方のようです。

雁はアバウトにいうと
鴨より大きく白鳥より小さい
つまり中くらいの水鳥の総称だそうです。

子供の頃に絵本で見た
鳥がV字に隊列を組んで飛ぶ光景
あれが「雁行」です。
カモ科の水鳥だったんですね。
外国の絵本だったから、あれはきっと「カナダガン」でしょう。
それが日本に飛来すれば「雁」になるわけです。

初雁というのは
秋、その年初めて北方から越冬に来る雁、ガンの事で
暦のうえでもう立冬を過ぎた今では
季語的にはもう遅いのですが
体感的には晩秋を感じる今頃が
ちょうど良いのかな、と思います。

唐津の赤っぽい茶色の地に
鬼板と呼ばれる鉄釉でさらっと
簡単な線で描かれた数羽の飛ぶ鳥の姿ですが
大きな余白は
枯葉も落ち尽くして広くなった空を感じさせ
侘びた季節感や暮れてゆく風情など
奥行きのある物語を
じゅうぶんに表している図柄です。

今ふと思い出しましたが
尾形光琳、乾山の実家(呉服商)の屋号が
「雁金屋」だったと思います。
余談ですが、なぜ「かりがね」と呼ぶのかな、と
考えてみましたが
夕日に雁が照り映えて、金色に輝きながら飛ぶ姿が
象徴的で美しかったからでしょうね。
うん、確かにきっとそれは美しいと思います。



2021年11月09日 唐津 トラックバック:0 コメント:0

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