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悠然として南山を見る

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橋本薫 赤絵菊竹文片口/色絵菊の葉向付


10月になりましたが毎日暑い!
こんな10月は初めてだな。。
暑さはお彼岸までって決まっているのに
やっぱり地球おかしい。

さて、秋になると思い出すのは
陶淵明の漢詩。
その一節の「東籬の下に菊を采り
      悠然として南山を見る」

学生の頃、秋のお茶会で
「悠然見南山」の掛け軸を見て
この詩の世界観を知り、この詩を好きになりました。

まぁ、秋といえばコレっていう代表的な漢詩なんですけどね。

この時のお道具は今も覚えています。

お茶碗は花三島・・つまり菊の花ですね。
薄器(棗)は苫屋棗・・侘びた家屋ってことかな
茶杓の名は「籬(まがき)の友」
お菓子は織部まんじゅう
そして床の間には
この掛け軸。「悠然見南山」

私、まだ学生のうちから「世捨て人」みたいなのに
憧れていたんですね(笑)

それまでは、菊はあまり好きな花だと思わなかったけど
それ以降、菊の柄も好きになりました。
今ではやはり日本の秋には欠かせない花ですね。

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赤絵の片口には、見込みに『悠』の字があります。
内外の周りには菊と竹の絵。
なぜ竹かというと、籬(まがき)は竹で編んだ垣根だからです。
垣根越しにちょっとおしゃべりしたりする隣人が
籬の友でしょう。
それは人間とは限りません。

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小鳥だったり、兎だったりもまた
『籬の友』です。
ちゃんと鉢の外側に描かれていますね。

作者がこの小鉢を造った意図を
読み取るのもまた、器遊びの楽しみのひとつです。

以前にもこの漢詩の世界観について
もう少し詳しくこのブログで書いています。
よろしければお読みいただけると嬉しいです。
「菊薫る、花三島」http://yuyuutsuwa.blog130.fc2.com/blog-entry-336.html


秋の光は輝き、賑やかな実りをもたらします。
良い季節になるといいですね。

2021年10月04日 九谷 トラックバック:0 コメント:0

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