荷葉形 魚藻文小付
橋本薫 荷葉形 魚藻文小付
荷葉(かよう)とは、蓮の葉のことです。
うつわの縁が蓮の葉の形になっていて
中には、赤絵で魚が藻や水草に囲まれ
ゆったりと安らいでいるように見えます。
中国語で「魚」は、「ヨ」と発音するので
「ヨ」> 余 > 余裕 = 豊かさ、富を表し
水草、藻は「隠れる場所」=「安全な家、棲家」を
連想させます。
明時代末の古赤絵の名品も残っている
古典的な図柄を模したうつわです。
私も、石洞美術館の「やきもの歳時記」に
そっくりな器がでているのを見ました。
古赤絵といえば、中国の明時代に景徳鎮で作られた
古染付の時代と同時か、その少し後半に
染付のものに赤や黄、緑などの色が加飾された器です。
これは、古赤絵写し、という事になるでしょう。
写しといっても、"意匠" を写すので
ただ、形や絵を同じように描く、というのではなく
その時代の雰囲気や、気持ちの入った表現でなければ
やはり、人の心を引きつける、品格あるうつわには
ならないんですね。
橋本薫さんのお作りになったこの小付、
うつわの中に小さな宇宙を感じる
魅力的なうつわです。
これは作者の定番の器なのですが
なかなか作って貰えない
次はいつ出来るかわからないうつわが
先日やっと、届きました。
嬉しいな。。。
小付ですが、食卓のアクセサリーのような
キラリと存在感のあるうつわで
何かと毎日のように使っています。