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『古染付』展 石洞美術館

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足立区にある石洞美術館で開催中の
『古染付』展 第1期に行ってきました。
実業家の佐藤千寿氏の素晴らしいコレクションです。

一般的に古染付と呼ばれているのは、中国明時代後期、17世紀に
日本からの注文で、景徳鎮の民窯で作られた染付ですが
佐藤氏は「虫喰いがあること」もひとつの基準にしていました。
虫喰いとは、縁などに見られる釉薬のちぢれです。
そこが、日本人が「侘び・寂び」をおもしろがって好んだ
魅力だからなのだと思います。

このコレクション展の副題に
「このくにのひとのあこがれ
 かのくにのひとのねがい」
とあります。

当時の日本の器と言えば、まだ塗物と織部や志野など
陶器(土もの)しか作られていなかったので
輸入品であった、白い磁肌にコバルト色の染付が珍重され
皆がほしがる憧れの器だったのでしょう。

古染付と言えば、やはり[ 向付 ]ですね。
向付は、四角のお膳、丸いお椀、と単調ななかで
ひときわ目立ってメッセージを発信する役目があるように思います。

古染付の文様は、吉祥文が多いのも特長です。
注文を受けて作った中国の陶工たちや、その時代の人々の
願いや祈りが込められているのでしょう。
文様のひとつひとつに意味があって
その意味を知ると、その願いが伝わってくるのを理解できます。

たとえば、写真の左側に置いたのは、九谷・橋本薫さんの瓜の向付で
実をつけ、綿々とつるが伸びていく瓜は、子宝に恵まれ
家系がずっと続いていくように。
昔は医学の発達もなく、予防注射など無かったので
子供が育たなかったのでしょうね。
無事に、と祈るように願って育てたことが伝わってきます。

美しく、遊び心のある絵付けは
やはり現代でも憧れですね。
まだまだ書きたいことがたくさんあるので
また続きを書くつもりですが。

石洞美術館は、こじんまりとした良い美術館です。
古染付展は、第1期〜3期まであって、佐藤千寿氏の集めた
17世紀景徳鎮の染付が展示されます。

第1期の今回は、わたしの大好きな兎の向付もありました。

古染付写し 兎向付

これは加賀の藤澤重夫さんの作品ですが
この兎のご先祖さま、かもしれません。。
是非会って来てください。

*石洞美術館 古染付展 第1期 2016年7/16~8/7
            第2期  8/20~12/18
            第3期 2017年1/7~4/2

2016年07月27日 染付 トラックバック:0 コメント:0

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