手のひらの月
藤井憲之 白磁小鉢
秋めいてきました。
気がつけば紫式部の実も色づいています。
十五夜から徐々に欠けていく月も美しい。
掬水月在手
水をきくすれば(掬えば)月、手に在り。
空にある月は手を伸ばしても届かないけれど
水を掬えば・・・月は手のひらに写っている。
自然との一体感が感じられ
掌中の月と戯れるような心地は
ちょっと羨ましいくらいで
味わってみたいものですが
コレって....
───届かないと思って見ているだけじゃなく、やってごらん
みたいな意味もあるのではないかと
ふと、感じました。
遥か遠くに在るのではなく
掬ってみれば、それは、手のなかにあるのだよ...と。
ちなみに、この句と対になっているのは
弄花香満衣
花を弄すれば(摘めば)香り、衣に満つる。
花を摘んでみれば、香りが我が衣に満つるよ。
花の香りは、知識や経験・・など尊いものを表わしているとすれば
───やってみれば、身に付くよ
きっと、そんな感じなのだろうと思います。
掬 水 月 在 手 水をきくすれば(掬えば)月、手に在り
弄 花 香 満 衣 花を弄すれば(摘めば)香り、衣に満つる
なるほど。。。