桃は人を幸せにする
藤井憲之 青白磁蛍手7寸皿
桃を頂戴しました。
桃の図と言えば、MOA美術館でみた鍋島
「色絵桃花文大皿」(重文)です。
精巧で気高い、1尺の名作です。
古来、桃には霊力があると言われています。
中国では不老不死の仙薬でした。
日本では、邪気を払う呪力があると考えられていました。
古事記では、黄泉の国から追いかけてきた追っ手に
イザナキは桃を投げつけて、その軍勢を追い払ったという話しです。
ほどよく冷えた桃の皮を剥きながら
そんなことを思い出しました。
私なら絶対に桃を投げないけどなぁ....なんて思いながら。
ちなみに、日本での不老不死の果実と言われていたのは
黄金色の「橘」です。
垂仁天皇の命令で、忠臣がこの常緑樹の黄金色の実を探しに行き
やっと見つけて持ち帰ると、天皇はすでに亡くなっていたので
忠臣は、天皇の墓前で泣き叫び自害したという話し。
不老不死の実を採って来るよう命じた人も
それを見つけて持ち帰った人も
不死どころか、結局死んでしまった...というところが
なんだか日本らしくておもしろいな、と思います。
権力者が最後に求めるものは、きまって不老不死だけど
ずっと生きている....というのもね。
凡人は望みませんよね。
でも確かに誰かが言っていた
「桃は人を幸せにする」という霊力は
本当かも・・・です。