傘と雨粒のうつわ
高橋芳宣 染付傘文平鉢
降り続いた雨で、家の中に湿気がこもってしまったので
四方を開け放し、風を通している時に、ふと
"水"について思いを巡らしました。
藍色が美しい九谷の鉢の傘のまわりのリングは、雨粒です。
雨を斜線でなく、雫形でもなく
まんまるな粒で描いたところがおもしろいと、惹かれました。
日本には、あやまちなどを「水に流す」という言葉があるように
水には、穢れを浄化する、清める 力があると考えられてきたようで
「水に流して」無かったこと、終わったこと にするためには
浄化して清め、新しく再生されなければならないのです。
だから
竜田川の散り紅葉も
花筏(はないかだ)の散った桜も
精霊たちも...もうじきお盆なので...
昔からみんな次世に再生されるために、水に流されていくのです。
雨粒が集まった川は、そのように流されたものたちを運び
海へ出て、いずれ蒸発して天へ昇り
雲になり、雨粒に再生され降りそそぐ。
そんな雨粒だから
ベールに包まれたように二重リングなのかな...と。
うつわのふちの線も、細い線が渦巻き状に描かれていて
これも、再生を表わしていると思います。めくるめく...という感じで。
乾山の描く水流などは、流されてみたくなるほど優雅な流れです。
桃太郎の桃は、おじいさんたちに見つけられなかったら
海まで流れていってしまったのかな...なんて心配しなくても
ちゃんと再生されるから大丈夫なのでしょう。
もう、7月になります。
本格的に暑くなるけど
水音 涼やかなここちで過ごしたい...でも
邪念が多いから、無理かな。。。