摘み草の小皿
橋本薫 摘み草の小皿 (子犬は小山弘治さん)
今年の春はまだ寒い...。
3寸(9cm)にも満たない小皿のなかの小さな春です。
空気は梅の花のように白っぽく
冬には見えた丹沢連峰や富士山が
霞んで見えない日も多くなってきました。
この時期の光は、海までも白く見せて
風はずいぶん冷たいけれど、春の気配を実感します。
これから桃や桜が咲けば、ほのピンク色に
そして菜の花の黄色へと、空気の色は変わっていきます。
その始まりのような、この小皿。
わらびや、未だ咲いていないタンポポ....。
この蕾みは明日には咲くだろうか、という物語めいた小皿が
愛らしくて、とても好きです。
裏を見ても、高台の脇から芽を出して
光を求めて表までのびてきた草が、喜んでいるみたい。
雪の北陸、九谷では
私たちよりずっとずっと、春が待ち遠しいのでしょうね。
うららかな春は、もうすぐそこ。
チューリップも芽を出してくれました。
けれど、何処からか怪しい微粒子が飛んできて
春霞を喜んでばかりはいられない様子です。