棚橋淳さん個展
瀬戸で、黄瀬戸・織部・古瀬戸を作陶している
棚橋淳さんの個展に行きました。
今回の黄瀬戸は、今まで棚橋さんが作っていた
釉薬がガラス質に溶けて透明感のあるものと違い
釉調がかせて、枯淡のある、さらっとした質感を意識して
作ったそうです。
釉薬が薄くかかっているぶん、思いのほか手取りは軽く
見た目はざらっとしているけれど、手触りはしっとり滑らかで
緑のタンパンも深みがあり、いい具合にきいています。
いいな、と思ったのは、織部の掛花入れ。
陶板のように平たく、壁にぴたっとついているような形で
窯の中で酸素を調節して出した織部釉の、深緑の模様が
息をひそめた深海の風景のように神秘的な表情でした。
そこに花を挿すと、一転して生命力を帯び
生き生きと呼吸を始めるようで、息をのむほどです。
前に進むために挑戦をくり返さなければいられないのは
モノを作る人の宿命でしょう。
思考と迷いをくり返しながら...は、苦しみでしょうが
そこから生まれてくるものは、やっぱりブレてない
"そのひと”の作るもの.....なんだなと
改めて勇気づけられたような気がします。
棚橋 淳さん個展は
2月5日(火)まで 横浜高島屋7F美術画廊で。
写真はその展覧会のDMです。