吉村昌也さんの粉引 その2
吉村昌也さんの粉引台皿と冠向付です。
吉村さんは少し変わった経歴を持つ作家さんで
フランス語が堪能で、商社マンとしてお勤めをしながら
夜間や休日に陶芸を学び、その後独立されたと聞いています。
茨城県の笠間に築窯なさって
李朝の粉引を師としながら生み出される”吉村粉引”は
独創的で生き生きとし、凛とした気迫を感じます。
多くの人を引き付けるその作品の魅力は
細部まで行き届いた繊細さが
全体の緊張感を創り上げ
張りつめられた空気に目が離せない...というところでしょう。
青白く輝く肌は光沢があり
粉引でありながら素地は固く焼き締められていて
吸水性は少ないので染みにならずに
食器としても使い易いです。
焼きものは、割れても破片は朽ち果てることなく
永久に残っていって、何百年後に掘り出されたりします。
陶を焼く人はそのように”悠久の時間”に介入して
ずっとあとの誰かにメッセージを残せるんだ! と思うとスゴイけれど
それだけに、今のことだけを考えずに
惜しみなく注ぎ込んで
”今”を見せてほしいですね。